東京主要5区の賃貸オフィスの空室率上昇は一服
8月3日、「東京オフィスマーケットレポート|2022年第2四半期(4‐6月期)東京主要5区・グレードAオフィス 」を発表しました。当レポートは、コリアーズ・ジャパンが、東京主要5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)のグレートAオフィスビル※1の賃貸オフィス市況と今後の見通しについて、当社が独自に収集したデータに基づいて分析したものです。
東京主要5区のグレードAオフィスビルでは、空室率の上昇には一服感がみられ、横ばい傾向が続いています。需要は回復傾向にありますが、空室率を低下傾向に反転させるほどの力強さはみられず、オフィス面積の縮小傾向から、今後も2019年以前の水準よりは弱含みになる見込みです。
貸主/ビルオーナーは、市場はコロナ禍の混乱から落ち着きを取り戻しつつあるものの、活発化し始めた2023年以降に竣工する新築ビルのテナント誘致活動に伴うテナントの動きに注意を払うことが推奨されます。賃料は下げ止まり傾向にありますが、フリーレントの長期化などの影響で実効賃料ベースでは依然として水面下で下落が続いている可能性があり、柔軟に契約条件を調整することが重要となります。
テナントにとっては、2022年後半以降、今後竣工する新築ビルの募集が増え、新築ビルへの既存テナントの移転に伴い大型の空室が市場に出ることにより、グレードの高いオフィスビルへの入居のチャンスが拡大することが予想される。競争が激化する人材の採用面でも、新たなワークプレイスのトレンドに合ったオフィス戦略の実現はアドバンテージとなります。
新規供給と需要の動向:グレードAオフィスの新規供給は2022年後半以降
2022年のグレードAオフィスの新規供給は、概ね2022年後半以降に竣工が予定されています。また、2023年には大規模な再開発プロジェクトの竣工が複数予定され、過去5年で最も新規供給の多かった2020年に匹敵する新規供給量になることが予想されます。また、グレードAオフィスのネットアブソープション※2は長期的には回復を予想しますが、全体的なオフィス面積の縮小傾向から、2019年以前の水準よりは弱含む見込みです。
空室率と賃料トレンド: 空室率の上昇は一服、下落が続いた賃料も下げ止まり傾向に
オフィス需要は回復傾向にあるものの、空室率を低下傾向に反転させるほどの力強さはみられず、供給量が増える2023年には再び上昇に転じる可能性が高いと考えられます。賃料は緩やかな下落トレンドにとどまると予想されますが、実効賃料ベースではフリーレントの長期化などの影響で依然として水面下で下落が続いている可能性もあります。
エリア動向: 下落が続いた賃料のトレンドは軒並み下げ止まり傾向
空室率の上昇は一服し、横ばい傾向にありましたが、再度上昇に転じるマーケットもみられました。賃料は下げ止まり傾向にありますが、大きな空室を抱える物件では、依然として大幅な賃料のディスカウントがなされる事例もみられます。
※1 グレートAオフィス:基準階面積が概ね300坪以上の主に賃貸に供されるオフィスビルから、弊社独自の基準で選定。
※2 ネットアブソープション(吸収需要):テナントの入居した空室面積の合計を算出し、需要面積の増加分を推計する指標で、[期初空室面積+期中新規供給面積-期末空室面積]により算出する。