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Expert Talks | メタバースにおける不動産

リアリティの拡張 : メタバースがもたらす不動産の無限の可能性


メタバースはすでに侮れない存在になっています。この急速に進化する仮想空間のネットワークは、単に物理学に挑むだけでなく、私たちが知っている不動産を再定義しようとしているのです。

メタバースとは、人々が交流し、遊び、働き、さらには財産を所有することができる仮想空間のネットワークです。グランドスラムのテニスコートをピクセル単位で所有したり、大富豪のセレブのバーチャル隣人になったり、ハイファッションを販売するデジタルショッピングモールの株式を取得したりと、インターネットの次の世代といわれるこのプラットフォームでは、何でも可能になるのです。

しかし、仮想空間は、テナントや投資家に実質的な価値をもたらすことができるのでしょうか。私たちのエキスパートによれば、その答えは「イエス」です。 


「メタバースは飛躍する。

それは間違いありません。

正確な方向性はまだ決まっていませんが、

その可能性は極めて大きいでしょう。」

オキュパイアーサービス マネージングディレクター Abhishek Bajpai|アジア


 

Sandbox (サンドボックス) や SuperWorld (スーパーワールドといった名称の仮想コミュニティは、投資家、ディベロッパー、テナント、そして Minecraft (マインクラフトや Roblox (ロブロックスといったアバターだらけのオンラインゲームで育ったデジタルネイティブ世代を魅了しています。メタバースという概念はまだ生まれたばかりですが、2021年だけでもバーチャルランド (仮想空間の土地) は5億米ドルを超え、2022年には倍増すると予想されており、不動産革命を起こす勢いです。

技術の進歩がダイアルアップモデムから超高速ブロードバンドへと移行したように、メタバースの臨場感は、インターネットの継続的な進化における必然的な次のステップであると私たちは考えています。コロナ禍が人々の生活の多くの部分をオンラインに移行させたように、メタバースは小売体験からオフィスでの対話に至るまで、あらゆるものを変革する可能性があるという認識が広まっています。

「『メタバースの何がそんなに特別なのか』 と、人々は今、非常に強い好奇心をもって問いかけています。」 バリュエーション&アドバイザリーサービスのヘッドである Hannah Jeong は述べます。「その答えは、あなたが誰であろうと、何であろうと、ほとんど何でもできる場所であるということです。誰にでもアクセスできるのです。」 


 

また、あらゆる企業が、メタバースが自社の事業にとって何を意味し、どのように活用するのが最善であるかを理解しようと躍起になっています。バーチャル物件は、作成、実験、アップグレードが比較的容易であるため、ディベロッパーだけでなく、オーナーやテナントも、メタバースを利用して実世界でのサービスを補完することができると、Jeong は述べています。



「イーコマースが実店舗の小売を完全に駆逐していないように、メタバースは実在する不動産に取って代わるものではありませんが、企業や投資家に新たな潜在的チャンスを与えるものです。」

オキュパイアーサービス マネージングディレクター Abhishek Bajpai|アジア


バーチャルランドの供給は無限であるため、メタバースの資産は実在する土地の何分の一かのコストで購入することができ、世界中の企業や投資家がこの空間に殺到しています。一方、ディベロッパーは、実世界の不動産を購入することが困難な新世代の顧客を引き付けるために、コミュニティを構築し、マーケティングツールとして活用することに熱心です。さらに、REIT (不動産投資信託) は、メタバースにおけるデジタル資産の取得、創造、賃貸の機会を活用しようとしています。

メタバースは、ディベロッパーや投資家がコロナ禍において、取引を継続するために頼りにしてきたバーチャルツアーを、まったく新しいレベルに引き上げることも約束すると、Jeong は指摘します。最先端のバーチャルリアリティ(VR)と拡張現実(AR)ツールを使えば、一歩も移動することなく、世界中のあらゆる場所の物件、さらには地域全体の特徴や細かな部分を見て知ることが可能になるのです」。



「これは、特に住宅用不動産市場にとって、購入希望者に全く新しい選択肢を提供し、十分な情報を得た上での決断を促すという大きなメリットをもたらします。」

バリュエーション&アドバイザリーサービス部門責任者 Hannah Jeong|香港



「対面での交流に代わるものはありませんが、メタバースは、これまでのどの技術よりも、仮想の交流を現実の交流に近づけることができると考えています。メタバースは、小売業に大きな影響を与えるでしょう。特に、企業が自社製品の広告やマーケティングを行うためのインタラクティブなプラットフォームを提供することで、実世界での販売を促進することができます。さらに、実際の製品のデジタル版をNFT(非代替性トークン)という形でマネタイズできるようになるため、新たな収益源が生まれる可能性があります。」 と Bajpai は述べています。 

 

 

メタバースの大きな可能性を活用しようとする企業は、いくつかの重要な注意点があることを心に留めておく必要があります。

まず、メタバースには大きな参入障壁がないため、参入の際にはプラスに働きますが、一方でボラティリティをもたらすクラウディングや投機が起こり得ると、Bajpaiは指摘しています。また、現在は Decentraland (ディセントラランド) のようなプラットフォームが主流ですが、他社の参入により、時間の経過とともに状況が変わる可能性があります。インターネットのパイオニアである Netscape (ネットスケープ) や MySpace (マイスペース) が、Google や Facebook に完全に駆逐されたようにです。

また Bajpai は、メタバースでは立地や来場者数が実世界ほど大きな役割を果たさないかもしれないが、資産評価において重要な判断材料であり続けることを理解することも重要である、と指摘しています。



「たとえ安くても仮想世界の砂漠に相当する場所には行きたくないでしょう。人が集まるような場所は、当然もっと多くの需要があるはずです。」

オキュパイアーサービス マネージングディレクター Abhishek Bajpai|アジア



プライバシーやサイバーセキュリティなど、常に存在するテクノロジー上のリスクは、今のところ規制されていないメタバースにおいて、さらに悪化しています。また、暗号通貨がメタバース取引で重要な役割を担っているという事実が、さらなるボラティリティと、膨大な計算能力とエネルギー消費を必要とするサステナビリティへの懸念を生んでいます。

しかし、Jeong は、アジア太平洋地域などの規制当局や民間団体が、すでにこうした課題に取り組んでいると指摘します。「多くの国がこの問題を重要視しており、暗号市場を規制し、市場の行動を変えようとしています。」 「暗号通貨コミュニティも、二酸化炭素排出量を削減し、よりESGに優しくなるための計画をまとめています。」

今後、5G、VR、人工知能、ブロックチェーンといった分野の技術進歩や、デジタルネイティブ世代の台頭が相まって、メタバースは不動産のメインストリームにさらに押し上げられるでしょう。つまり、すべての業界関係者が、何らかのメタバース戦略を策定する必要があるのです。

「この空間には多くのチャンスがあります。」 Bajpai は続けます。「だからこそ、私たちは技術的なアドバイザリー能力を高めることに力を注いでいるのです。 お客様にメリットと課題を説明し、購入に踏み切った場合のプロセスをご案内していきます。」

メタバースは決して実世界の資産に取って代わるものではありませんが、私たちのエキスパートは、メタバースがますます実世界との相乗効果を発揮し、オーナー、テナント、投資家にとって刺激的な新しいソリューションとビジネスモデルの基盤になりつつある、と考えています。



「メタバースは、不動産市場を躍進させ、世界にさらなる創造性をもたらすでしょう。特に、潜在的なリスクがより軽減され、より安定したプラットフォームが整うことで、その可能性が高まります。」

バリュエーション&アドバイザリーサービス部門責任者 Hannah Jeong|香港

 

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*この記事は、2022年3月31日に、コリアーズ・アジア・パシフィックのサイトに掲載された記事を翻訳したものです。